※連載は終了しました。記事内の価格及びデータは連載当時のものです。
中古カメラの価格相場というのは、日々変化しています。
市場でユーザーに人気がある機種は価格相場が上昇し、人気がなくなれば下落します。また、メーカーの製品ラインナップ再編、生産中止などのニュースが影響し、価格相場が大きく変わることもあります。最近、変化の多いカメラ業界の中で、中古カメラの情報にカメラファンたちは目が離せません。
このコンテンツでは、様々な要因により日々変化する中古カメラ価格を、「フジヤカメラ店」提供の価格相場データを元にチャートグラフを作成し、今一番買い時、買い得なカメラは何かを探り、毎月1機種ご紹介します。
さて、今月ご紹介する魅惑のカメラとは・・・
第10回:ニコン Ai Nikkor 50mm F1.4S
ー安定した人気を保つロングセラーレンズー
藤井 智弘著
 現在は銀塩でもデジタルでも、ボディと一緒に購入するレンズは、ズームを選ぶ人がほとんどだろう。しかし、かつては50mmの単焦点レンズが一般的だった。50mmは標準レンズと呼ばれ、多くの人に愛用されている。

 50mmを標準にしたのは、35mmカメラの元祖「ライカ」だ。なぜ50mmだったのか、いくつか説があるようだが、肉眼に近い写りをするから、という理由をよく聞く。ズームのような画角の変化はできないが、F1.4やF1.8など、ズームでは存在しない明るさを持ち、それでいてコンパクト。しかも大口径レンズとしては安価なのが特徴だ。被写体に近づいて絞りを開ければ望遠のようなボケが得られ、絞ればシャープな描写が味わえる。50mmは実に味わい深いレンズなのだ。

 ニコンの50mm、と言えば、もちろんニッコール50mm。その中でも一般的なのが、明るさF1.4の50mm F1.4だ。Fマウントのニッコール50mm F1.4が発売されたのは、1962年のこと。ニッコールSオート50mm F1.4が初だ。72年にはスーパーインテグレーテッドコーティングを施した、ニッコールSCオート50mm F1.4になった。74年になると、レンズ光学系と外観を大きく変更したNewニッコール50mm F1.4にモデルチェンジ。そしてAi方式に対応した、Aiニッコール50mm F1.4が77年に登場した。それまではレンズをボディに装着したら一度絞りリングを回し、ボディ側へ開放F値を伝える必要があった。MFのニッコールレンズの絞りリングに付いているカニ爪は、非Ai方式のボディに装着した際に、レンズの絞り値をボディへ伝えるためのものだ。しかしAi方式はそれが不要。レンズを装着したらすぐ撮影できる。現行でもある、Aiニッコール50mm F1.4Sは81年の発売だ。AiニッコールSレンズは、レンズ外観の統一感を持たせ、操作性を向上させたタイプ。AiAFニッコール50mm F1.4Sは86年。現行のAiAFニッコール50mm F1.4Dは95年に発売されている。Aiニッコール50mm F1.4Sは、発売から26年が経過した。当然、ニッコール50mm F1.4シリーズでも最も長く製造され、中古の数も最も多い。

 しかし相場は下降せず、1万円台後半でずっと安定している。唯一2006年4月頃に3万円まで相場が跳ね上がるが、これはニコンの銀塩縮小のアナウンスによるものと見られる。だが50mm F1.4は継続して販売されるため、すぐ元に戻った。この安定の理由は、MFのF3やNewFM2、FM3Aなど、MFボディによく似合うからだろう。AFレンズも装着できるが、やはり見た目にもこだわりたい。中古市場でニコンのMFボディの人気が高いということは、それだけMFレンズの需要もあるということ。Aiニッコール50mm F1.4Sの中古価格が安定しているのはそのためだと断言できる。またデジタルのD3やD300、D200でも使用できるのも魅力だ。DXフォーマットのD300やD200に装着すると、焦点距離は35mm換算で1.5倍。つまり75mm相当になる。

ズームが当たり前の今だからこそ、50mm F1.4はもう一度見直したいレンズだ。肉眼に近い写りをする標準レンズは、撮影者が見たもの、感じたものを、ストレートに表現することができる。

<右下写真>
50mmF1.4の魅力は、肉眼に近い自然な写りと、ズームでは得られない明るさを持つことだ。夕暮れや夜間、室内など暗い場所での撮影にも威力を発揮する。しかもコンパクトなので、スナップにもピッタリのレンズだ。
・撮影データ
ニコンF3・Aiニッコール50mm F1.4S・絞りF1.4・1/30秒・フジクロームプロビア100F
撮影:藤井智弘

81年の発売から、すでに26年が経過したロングランレンズ。おかげでタマ数は多い。とはいえ価格はチャートを見ればわかる通り、1 万8000円前後で安定している。Aiニッコール50mmF1.4Sは、定番中の定番MFレンズだ。しかも現行品なので、レンズフードも新品で手に入る。



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Aiニッコール50mmF1.4SをニコンF3に装着してみた。F3の発売が80年なので、F3と共に歩んだレンズと言える。当然、装着したバランスも良好。とてもよく似合う。F3を手に入れたら、Aiニッコール50mmF1.4Sもぜひ購入したい。



ニッコール50mmF1.4の歴史。向かって左がニッコールSオート50mmF1.4。中央がAiニッコール50mmF1.4S。そして右がAiAFニッコール50mmF1.4Dだ。レンズ構成枚数は、ニッコールオートが5群7枚、それ以外は6群7枚。それぞれ大きさやデザインが異なることがわかる。



MFボディ向けのレンズだが、デジタルのD3やD300、D200にも装着して撮影できる。その場合は、メニュー画面からレンズの焦点距離と開放F値を登録する。アダプター類など何も必要なく、MFレンズとデジタルが融合。ニコンFマウントの伝統を感じることができる。



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価格相場データ提供:フジヤカメラ店 http://www.fujiya-camera.co.jp
※  チャートグラフは、2001年から現在までのフジヤカメラ店の販売データを元に作成しています。
実際の市場の中古価格は、カメラ店により異なります。